ワタクシは先日交通事故に遭いましたが(
アンビュランスに初乗り♪をご参照下さい)、その後「ケガは治った?」「免許はどうなった?」という心配のメールをたくさんの友人より貰いました。
ケガは、私はとっくに治りました。夫はまだびっこを引いていますが、松葉杖もついておりませんし、サーフィンも出来るようになったし、マニュアル車も運転できるようになりました。ご心配ありがとうございました。
でもって今日は、すったもんだした免許について。もうとっくに終わった話なんですけどね・・・。
事故直後に警官に渡した免許をその警官に失くされてしまった私。病院にいたら「免許なくした」と黒人のでっかいキツい南部訛りのおじさん警官に告白され、はぁ~?じゃこれから私はどーしたらいいんだよってなもんで、そしたらその警官オジサン「もう一回探してから連絡する」と言ってその場を去ったのでした。
でもって、その日は土曜日、日曜日、月曜日連絡来るかな~と思ったらもちろん音沙汰なし。期待はしていなかったけど、あまりにひどくない?運転できない夫を抱えた私は、無免許のまま病院に行ったり会社に送ったりしなければならないの?
大体この国では、運転免許は運転免許以上の存在である。運転しないとどこにも行けないから(もちろん都会は別だけど)成人男女はみんな持ってる。日本のような国民健康保険も無いので、唯一の身分証明書である。どこに行ってもID見せろと言われ、タバコやお酒を買うのも、初めて病院に行くのも、飛行機乗るのにも必需品だ。実際、その土曜からの3日間で、「実は、土曜日に交通事故に遭って・・・」と何回説明したかわからない。事故証明書の紙切れとパスポートを一緒に持ち歩く毎日。
その上私は外人である。英語もイマイチの、得体の知れないアジア人だ。しかも、ソーシャルセキュリティーナンバーも持ってない(夫は持ってるけど、彼のビザでは妻には発行されない)。免許を持っていなければ、ますます怪しい人だ。はっきり言って、何かで警察官に止められて「ID見せろ」と言われて、「警官が失くした」と言ったところで容易に信じてもらえないような立場である。あ~れ~と連れて行かれていきなりjailに入れられてももおかしくないのだ。
と言うわけで、月曜日から、私の『免許をめぐる戦い』が始まったのである。
まず、事故証明書に印刷してあった電話番号に電話する。「かくかくしかじかで・・・この証明書にはオフィサーはMs.○○と書いてあります」と説明すると「はぁ。じゃあ担当部署に回します」と待たされる。数分立つ。誰かが出る。また、「かくかくしかじか」を説明する。また回される。また説明する。また回される。何回か繰り返して、「やっぱりこっちに電話して」と違う電話番号を教えられる。その番号に電話する。また説明する。また回される。また説明する。また違う電話番号にかけろと言われる。いーかげんにしろってんだよ!
で、最終的にどうやら担当部署に回ったらしいが、「Ms.○○は水曜日までオフィスに戻ってこないので、水曜日に連絡させます」と言うので大人しく電話を切る。
どうやら私は大人しすぎたようである。水曜日、木曜日まで待ってももちろん連絡はこない。てめーが失くしたんだよ、なめんじゃねぇぞコラッ。
でもってもう電話じゃ埒が明かないので、金曜日に、街で見かけた駐在所みたいな(交番ほど小さくはないが、警察署ほど大きくも無い)”POLICE”と書いてある建物に駄目もとで行ってみた。
これが、ビンゴ。私が「あのー、この間の土曜日事故に遭いましてー」と入り口で説明しだしたら、その時にいたカリフォルニア出身の新入り警官が「ああ!ハズバンドと一緒に事故に遭った人だよね?」と私を覚えていてくれた。「そう!それで、私の免許が見つかったかどうか聞きに来たんですけど」と私が言うと、奥の方から例の黒人のでっかいキツい南部訛りのおじさん警官が出てきたのである。「あ~君か~」って、おい!もひとつおいおい!
ものすごーく訛っているので断片的にしか理解できないのだが、どうやら事故証明書を書いたのは女警官で、その女警官はそのオジサン警官に渡し、そのオジサン警官が失くしたようである。
オジサン、あ~君か~と言った後、おもむろにその建物の外に出て行き、自分のパトカーをごそごそし始めた。やーっと探し始めたのである。たぶん土曜日からほぼ一週間経って、初めてねっ。
このでかいオジサン、でかいだけに足も長い。お尻も黒人さん特有の、羨ましいbubble butt(ぷりっと上に上がったシャボン玉のようなお尻のことをこう言う)。パトカーに太っちょの上半身を突っ込んでるから、後ろにいるちっこい私の目の前でお尻がぷりぷり。シートを動かしたりその下を懐中電灯で照らしたり、その姿はかなりコミカルである。
で、「ないな~」と言いながら助手席側のドアに移る。運転席側のドアは開いたまま。私に探せって事か?しかし、パトカーの中って一般人が勝手にじろじろ見ていいものなのだろうか?大体、私が極悪人で、そのままパトカー奪って逃走したらどうするつもりなんだろ?
しょーがねーなと私も車に体を突っ込んで探し始める。ガラクタの数々。マフィンの殻、コーラの飲みかけ、レシート、なんだか知らないけど手紙の束・・・私がそれに手をかけると「あ、それは僕の家のだから」と制止する。パトカーって、この国では私物!?!?
しばーらく探していたら、免許と一緒に私が渡した、私の車のインシュアランスカード発見!「これ、私のよ!ってことは、私の免許も絶対ここにあるはずよ!」と言うと、「彼女(女警官)はさ~、ダッシュボードの上に置いたって言うんだよな~・・・」・・・そうですか、人様の大事なものを手渡しもせず確認もせずに、ですか。
で、結局見つからず。おじさん警官「君は、サウスキャロライナの免許取るんだろ?それまで無しでいいじゃないか」とノーテンキなことを言いだすので、「あのねぇ、私は外国人なのよ。ただでさえ危険人物なのに、そんなおぼろげなことじゃ困るわけよ。わかった、もう、『失くしました』っていうレターを頂戴よ!それを持ち歩くから!」と言うと、何回か反論し、私も反撃し、やっと「わかった、じゃあ、月曜日に届ける」と言ってやっと終了。は~。
で、来たかって言うともちろん来ない。そいでもって火曜日にまた同じ警察に行く。すると、オジサン非番でいない。またまた「かくかくしかじか」を初めて会った警官に一から説明すると、そいつ「ええっ!じゃ君今無免許で運転してんの?捕まったらjail行きだよ!」って、知ってるっつーの。だから来てんだよ!
「ああ、その警官はBigJ(←オジサン警官のあだ名。ぷぷっ^m^)だな。この番号に電話して、催促しな」と言うから、「なーんで私が電話するの?失くしたのはあっちなのに!」と言うと、「だ・か・ら、君が電話するんだよ。彼は忘れてるから。」 もういいよ。疲れたよ。
で、私はその電話番号(ちなみにそのおじさんの家の番号である)のメモ片手に家に帰ってきた。は~電話しないとなんないのかな~とそのメモを見つめていると、お友達のヤズミンさんから電話。言ってなかったけどね、実はかくかくしかじかで・・・と顛末を述べると、「もうそれは、サウスキャロライナの免許を取っちゃうしかないわね!一緒に行ってあげる!」と言う。免許取得ごときでアメリカ人さんにご足労願うのはなんだか恥ずかしいけど、私の状況が状況だし、ここは一つ甘えることにした。
そして免許取得場所、DMVへ。私は事故証明から警官の名前と電話番号を書いた紙から、何から何まで持っていったけど、カウンターのお姉さん「前の免許を持ってないと、はじめから試験を受けていただくことになります」と頑な。日本の免許も「州にレジスターしてる翻訳者の翻訳が無いと持っているとみなされない」と言う。
元々オハイオの免許をトランスファーするだけだから、免許があれば試験も何もいらない。実際、横で夫のはすいすい処理されていく。は~。
そしたら一番下の1歳半の息子を連れたヤズミンさん、おもむろに「明日は一番上の息子の誕生日でねぇ、10歳だから、記念にYMCAのプールを借り切って、盛大にパーティーするのよー」とお姉さんに話しかける。お姉さん、夫の免許の処理をしながら、あらそうなんですかと笑顔で返す。「上から10歳、7歳、3歳、で、この子が一番下なの。Say Hi to Ms.○○~♪」と、いつの間にか彼女のネームプレートをチェックして、息子にハ~イと言わせてる。またこの子が愛想の良い子で、上手いことにこにこ笑いかける。
そんなこんなしてたら、なんだか・・・、もしかして・・・、私の免許処理やってる?
私は日本語で「私のもやってない?」とヤズミンさんに問いかけると、「静かに~。たぶんやってるから~、何も言わないで~。」とヤズミンさんも日本語で答える。やってるクサいぞ~!
で、結局あんなに頑なだったのに、「事故証明にある免許番号からオンラインでトレースしたらちゃんとeffectiveだったので、そのままトランスファーしてあげましょう」とお姉さん。「Thank you Ma'am, thank you so much、私、今度の日曜の教会では、あなたの為に祈ります~」とヤズミンさん。えーーー?
帰り際、「ありがとうヤズミンさん、あなた無しだったら私は免許最初っから取るようだったわ」と御礼を言うと、「アメ~リカでは、トモダチになる!ソレがイチバン、タイセツ!」。
はい。私は処世術 in America を学びました。
で、仮免許を貰って帰ってきました。
一週間後、ポストを開けると、本免許が。ほっと一息ついていると、も一つ違う封筒が。
あら?なんだこの手紙は?
・・・はい、もうお分かりですね。『免許を失くしました by Florence Police』でした・・・。
あまりにグッドなタイミングだったので、記念に取って置きます。
ここまで読んでくださって、
ありがとうございます~ m(__)m
ところで、全く関係ありませんが、今週末はLAで、待ちに待った、7月に
Bachelorette Partyにも出たジュリちゃんの結婚式。明日からLAに1週間、旅に出ます~。
小学生の時にアメリカにやってきた実はコロンビア移民のジュリちゃん(ばりばりラテン家族)と、オランダ系アメリカ人のトム君(真面目で質素なお家柄)の結婚式。どうやらジュリちゃんのコロンビアの親戚も大挙としてLA入りするらしく、仕切りもジュリちゃんのママがほとんどやってるのを見ると、映画"My Big Fat Greek Wedding"みたいになるんじゃないかと。楽しみです!
これまたもっと関係ないけど、旅行前の在庫整理の一環で、
”銀子さんのバニャーニャ・ブレッド”を作りました。すごく簡単なのに、すごーくおいしいです。